リチャード・コイルについて私が知っている2,3の事柄

なぜか最近リチャード・コイル検索で飛んでくる方が増えてる?と思ったら、ジェリー・ブラッカイマーの新作「プリンス・オブ・ペルシャ」に出演していたんですね。というか公開は5月末。もうすぐ公開終わってしまいそうではないですか。・・・気が付くの遅すぎてすみません。

肝心の映画ですが、ようやく見る事ができました!いやあ、びっくり。ペルシャの王子さま役でジェイク・ジレンホール(日本ではジェイク・ギレンホール)のお兄さん役。あのジェフが!あの美形なのにへんちくりんだったジェフがこんな落ち着いた役を!

ええ、すみません、リチャード・コイルと言えばイギリス人にとっては(そしてジャック・ダヴェンポートファンの日本人にとっても)「Couplingのジェフ」なのです。

現在はイギリスの国民的人気ドラマ「ドクター・フー」のメインライターのスティーヴン・モファットが10年前に書いた、イギリス版(ちょっときわどい)フレンズ、といった感じのラブコメの中のキャラクター。
主演は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのノリントン提督ことジャック・ダヴェンポートですが、一番視聴者の記憶に残るキャラクターは、モファットとリチャードが作り上げたジェフ・マードックでした。6人の主人公のうちツッコミは二人(そのうち一人も往々にして小ボケに)で、残り4人のボケの中でも「大ボケ」役。「ママと恋に落ちるまで」のバーニーや、「ウィル&グレイス」のジャックみたいな感じでしょうか。変人でトラブルメーカーだけど、なんとも憎めないので印象に残ります。

プリンス・・・の時はロンゲのズラをかぶってますが、地毛は見事すぎる天パです。

ジェフ君は、極端に厳しすぎる(そしてかなり変人の)母親の教育の賜物?で、女性を前にすると「一番言うべきでないことを言ってしまう&挙動不審になる」ため、30歳目前にして恋愛経験はあまりなく、女性に対する妄想ばかり膨らんで、奇妙な「ジェフ理論(彼氏ゾーン説、giggle loopなど)」を確立してしまってオタク気味。でもとても純粋で愛すべき人物なので、仲間からもゲスト出演の美女たちからも可愛がられまくっておりました。



今は「レバレッジのソフィー」と云った方が分かりやすい?ジーナ・ベルマンはジェフに輪をかけた変人ジェーン役。今でもスタイル良いですが、10年前はスタイル良すぎて同性なのにめまいがしそうでしたw

ビデオ:ジェフと英語が一言も分からないイスラエル人美女との「会話(通訳付き)」

ビデオ:一応ツッコミのスティーヴンも、結構おバカでした(初めて意中の女性に電話を掛けた時、会話に不自然に間が空いてパニックになった男性の失敗談。ジェフによるSF映画的解説付き)

ジェフの特徴の一つは、ウェールズ訛り。リチャードは北国シェフィールド出身ですが「脚本を読んだ時に、何故かウェールズ訛りで聞こえてきた」というインスピレーションから、脚本家から指示があったわけではなく、自分のアイディアでウェールズ訛りにして演じてみたそうです。
撮影現場でもウェールズ訛りしか話さなかったので、共演者も全員リチャードはウェールズ出身だと思い込んでいたそう。一般大衆は今でもリチャード=ウェールズ人と思ってるはず。

まさにハマリ役でしたが、演劇学校で4年も学んできただけに、いつまでもジェフのイメージがついてしまう事に葛藤があったようです。*1人気絶頂だった第3シリーズで降板。ジェフの代わりに他のキャラクターを入れましたが、結局Couplingは第4シリーズで終了してしまいました。

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親友


パイレーツオブカリビアンノリントン提督でおなじみ?ジャック・ダヴェンポート。ドラマのなかでダベさん演じるスティーヴとリチャード演じるジェフは親友でしたが、現実にもとっても仲良し。映画やお芝居のプレミアに仲良く一緒に写っている事も多いですv

生い立ち

イギリス ヨークシャー州の首都シェフィールド出身。ご存じの通り産業革命の頃は鉄鋼業で有名でしたが、リチャードが子供時代を送った70年代、80年代にはすっかり斜陽に。とはいえ最近は復興しているようです。ジャーヴィス・コッカーを始めとするパルプのメンバーの出身地なので、ロックファンの方ならちょっとイメージがわきやすいかも。

リチャードの両親はアイルランドからの移民で、お父さんは建設作業員。男ばかりの兄弟5人。ごくごく庶民的なお家のだったようです。ご先祖がスーダン総督で、初代ラグビー男爵のジャック・ダヴェンポートとはかなり違います*2

リチャードはヨーク大学卒業後、演劇の名門ブリストル・オールド・ヴィックに合格していましたが、入学金が準備できず、様々な人に何百通も手紙を書いて、お金を貸してくれるようにお願いしたそうです。「みんなびっくりするくらい優しかった。おかげで演劇を学べた」そうです。ちゃんとお金返したのかしら・・・:-p

そのほかの出演作

Lorna Doone ローナ・デューン

演劇学校卒業から2年で長編歴史ドラマの主役を掴んでしまいました(Couplingと同じ年)。親の仇の娘に恋をしてしまう正統派のハンサムで勇敢なヒーロー役。恋敵役にエイダン・ジレンも出ています。

Strange ストレンジ

Couplingに降板する直前から主演し始めた、BBCのオカルトミステリードラマ。Couplingのジェフのイメージを払しょくしたくて、シリアスな役を選んだようですが、ニコリともしない役で、ちょっと残念。

Libertine リバティーン

ジョニー・デップの映画にジャック・ダヴェンポートと共演!というニュースを聞いた時は小躍りしてしまいましたが、フタを開けてみたらダベさんとの共演シーンはなし・・・。でもジョニー・デップの従者オールコット役として、笑えるシーンをほとんど持っていってしまう活躍ぶり。ただ、リチャード出演作としては珍しく日本でも公開されたのに、素顔とは程遠い奇妙な容貌だったのがちょっと残念。この映画でリチャードを知った人も多かったと思うので。

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ちょっと頭の固い株トレーダーAmis役。主人公の憎々しげなライバル、と言う感じですが、リチャードの持ち味は純粋で可愛らしい雰囲気なので、あまり合ってません〜。作品自体は、はリドリー・スコット監督だけあって、台詞も映像も音楽も隅々まで選び抜かれて良く出来ていて、何度見ても発見がある傑作だと思う(いつものリド爺的スペクタクルを期待するとがっかりするかもしれませんが)、リチャード目当てじゃなく観れば楽しいですv

このほかにもアメリカのドラマシリーズのUltraパイロットに出たり(残念ながら制作決定ならず)、Coupling以後のリチャードは、「ジェフじゃない役」を求めてわんわん!と3千里していました。

舞台にも積極的で、Proofでグウィネス・パルトロウと共演したり*3、先日Redでトニー賞を受賞したマイケル・グレネード演出、デレク・ジャコビ共演で故郷シェフィールドのクリーシブル劇場で古典劇Don Carlosに出演し、好評でロンドンに凱旋公演したり。思い切って「怒りを込めて振り返れ」に主演したり。Don Carlosと「怒りを・・・」は、わざわざシェフィールドくんだり(こら)までリチャードを見るためだけに飛行機に乗って駆けつけてしまいましたが、どちらも「ジェフじゃない」というだけで、ジェフ以上の輝きはありませんでした。

ダベさんがアメリカでSwing Townの主役やFlashforwardの重要キャストを着々とつかむ中(どちらも1シーズンで打ち切りになってしまいましたが・・・)、リチャードはどこに行ってしまったのかしら・・・と思っていたら
ようやく「プリンス・オブ・ペルシャ」のタス王子役がやってきました!
作品自体は「テレビゲーム原案のブラッカイマー映画化」なので推して知るべしですが、リチャードが演じたタス王子というキャラクターには、父を突然失って大国の王になった戸惑い、理想主義的な若さ、時には側近に惑わされそうになる優柔不断さ、血のつながらない弟に裏切られても、結局は弟を信じる心の根っこの強さが入り混じっていて、意外なほどに深みがありました。それに、なんといってもリチャードがちゃんと素顔=美形に見えます(ここ重要w)。

内面的にも外面的にも、タス王子は、ジェフ以後のリチャードがようやく見つけたハマリ役のような気がしますv 是非シリーズ化して、続編にも出てほしいです・・・が、ジェイク・ジレンホールってすごく素直な役者さんなのかしら。まっすぐで心根の優しい若者を何のケレン味もなくさわやかに演じてくれたので(ほとんど設定に深みのない脚本を文字通り演じてくれたともいいまふ)、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジャック船長のような強烈さを求めると、なんだか主人公が物足りない?当初予定されていたオーランド・ブルームが演じていれば(あまり好きな役者さんではないけれど)、もうちょっと独特の媚びがあるので、キャラの濃さにもつながったかなあ・・・と思うのですが。ええと、ダチョウレースの商人に期待します!いやちょっと待って。その前に原作のゲームの続きに、お兄さんたちは出てくるのかしら(ここ一番重要!)??

尚、リチャードの最新作は、先日記事にもしたイギリスのSky1制作の二夜連続スペシャルドラマGoing Postal. 

愛嬌のある詐欺師役で、久々のリチャードらしさが生きたハマリ役でした! このシリーズ*4は過去2本が日本でもDVDが発売・レンタルされているので、期待して待ちますv

次回作はレニー・ハーリン監督、アンディ・ガルシア主演の「グルジア(原題)」です。なんだかジャック・ダヴェンポートと入れ替わるように段々メジャーになってきている・・・かもしれません?! 

*1:外で一般人に会うと、ほぼ例外なく「breasts!(おっぱい)」「nipples(ちくび)!」などの迷台詞を言われるのも、段々辛くなってきたようで・・・w

*2:ヒュー・グラントやらヒュー・ローリーやらリチャード・E・グラントやらヘレナ・ボナム・カーターのせいで、イギリスの俳優ってこんな人ばかりだと思ってました・・・w

*3:映画版でリチャードの役を演じたのはジェイク・ジレンホールなので、これも何かの縁?

*4:Sky1によるテリー・プラチェット作品のスペシャルドラマ化