内部告発 第4話「疑惑のパスポート」

ほぼ無報酬で内部告発者を弁護しているベン(リチャード・コイル)とアリーシャ(インディラ・ヴァルマ)の弁護士カップルの事件簿ももう4話目。
今回の舞台であるイギリスの入国管理局ではどんな不正が行われているのかと思ったら、もう真っ黒でした。新人が室長に「なんか不正あります!調べてくだちゃい!」と上申しても聞かなかったフリ。「お前は入って日が浅い。このくらい長年の慣例だ」ははははは・・・。じゃあ黒幕は室長なの?というと、もちろんそんな単純なお話ではなく、二転三転。ちょっと想定外のエンディングが待ってました。


以下ネタバレです。

グレアム・コールの収支報告

アリーシャたんは先週までの特攻隊長ぶりが嘘のよう。妊娠が判明した途端守りモードに。「やっぱりちょっとはお金になる仕事をしないと」とベンに訴えています。やっぱりほぼ無給で働いてたのですね、この人たち。グレアム・コール法律事務所の収支報告書は超バランス悪そうです。

先週のエピソードでは、唐突なアリーシャの妊娠を素直に喜べなかったベン。ちょっとだけギクシャクしていましたが、アリーシャは今週の冒頭でベンに「父を呼んだから。一緒にディナーしてねv」行動早っ。さすがやり手弁護士?攻め気です。

ところが、くだんのディナーの事もほぼ忘れて、疑惑のトルコ人カフェに飛び込み取材して、トルコ人マフィアにお腹を二発殴られてダウンしてしまったベン。アクション映画では、ちょっとくらい殴られてもヒーローは平気ですが、ベンは道端でうずくまって吐くわ、帰宅後すぐに慌てて薬飲むわ、ディナーが終わっても「こんなにアザできた」アピールでアリーシャにお薬塗ってもらうわで、かなりのダメージ。考えてみたら、アクションヒーローじゃない、ごく普通の人が暴力を受けたらこうなって当たり前なんですよね。テレビや映画の見過ぎで、暴力にマヒしているんだな・・・と実感してしまいました。

アリーシャのお父さんは、かなり裕福な様子。収入のない二人を心配してはいてもベンを責める事もなく「返さなくていいよ。お金あげちゃうvムスメ大スキ!」という素晴らしい親バカっぷり。そりゃ孫も出来るとなれば、援助せざるをえないですよね。ベンは、ちょっとだけ自分のプライドと戦っていたましたが、やっぱり援助を受け入れる事に。収入源のないカップルの収支を、シリキさんと共に心配してきましたが、こんなタナボタ式に解決するとは。・・・ま、いっか(よくないかもw)。

きょうの事件

ええと事件の本筋に戻りまして。トルコ人の男が偽のパスポートでイギリスに入国→到着間もなく在英トルコ人を暗殺→入国を手引きした男たちがトンズラ→実行犯だけ即逮捕。
実は男はトルコ人が経営する食堂に出稼ぎに来るだけのつもりだったのに、入国を手伝ってくれた男たちに家族に危害を与えると脅され、仕方なく暗殺を請負ったと判明。英語がほとんど出来ない男には、早々に通訳と弁護士が付きますが、どうも依頼者の為になっていない様子。

調べて行くうちに、トルコ人ばかりを弁護している弁護士と、ベンが飛び込み取材に行ったトルコ系食堂でいきなり殴ってきた男たちがつながっている事が判明。お金目当てで人身売買?と思いきや、なんと弁護士はキプロス島ギリシャ系出身で、トルコ人すべてを憎んでいたので、トルコ人同士で勝手に殺し合って全滅すればいい!とばかりに裏から仕組んでいたことが判明。しかも入国管理局を管理する省庁のトップ(官僚)が、それをまるっと全部知りながら、入管の不祥事が明るみに出ないように握りつぶしていた、というのが真相。うーん、キプロス島ってそういえばそんな紛争もありましたよね。普通の人にトルコからここまで連想できるかなあ・・・池上彰さんでもない限り予想のつかない展開だったかもしれません?!

さて、不正の数々を見て見ぬふりしてきた事を反省した室長。最後には告発した女性をかばって早期退職。ところがその潔さとは裏腹に、最後の数秒で「入管の不正は全く終わっていない」事が分かる、非常に後味の悪ーーーーーいエンディングでした。安易にハッピーエンドにする事が出来ないほど根深い問題だった、という事でしょうか。

告発者の保護

このドラマを見ていてずっと気になっていた「告発者の保護」ですが、またもやちょっと問題に。フリージャーナリストを使って新聞上で告発記事を書いてもらったものの、すぐにタブロイドが「告発者は精神科の薬を飲んでいた事がある!!」と騒ぎ立て(単なる産後ウツ。しかも短期間)、家の前には取材記者が押し掛ける。シングルマザーとしては、まだ幼い子供にまで危害が生じたら!?と一瞬取り乱すのも無理はないです。結果的には「息子を守りたい」気持ちを優先して和解金を受け取って示談で済ませ、真相の徹底解明には至らず。真相解明を取るか、告発者を保護するかの二者択一にしないと、巨悪を暴く事は出来ないのかな・・・と考えさせられました。ベンとアリーシャとは対照的に、告発者のプライバシーを守る工夫をしているWikiLeaksでも、別のルートから告発者の身元がバレてしまいましたし。今の仕事を失う覚悟がないと、内部告発はやっぱり難しいのでしょうか。

来週は政治家からの内部告発、という変化球ネタ。政治家なら自分で調査すればいいのに何故?と思ってしまいますが、一体どんな展開になるのでしょう??楽しみです!