アンドリュー・リンカーンのゾンビドラマThe Walking Dead ウォーキング・デッド第一話鑑賞

ハロウィーンの日曜日にパイロット(第一話)を放送。原作はどうやら大人気らしいアメコミ。脚本・監督はなんとショーシャンクの空に」の脚本・監督フランク・ダラボン。放送はMad Men, Breaking BadのAMC。放っておいても一定のファンが確実についてそうな作品だけど・・・ゾンビですから。たぶん私も含めて、女性はあまり見ないだろうなあ〜という作品。

でも、見ざるを得ないのです。

だって、ものすごく面白いから。ゾンビスプラッタとして、かなりsiiiiiiiiiickなほどリアリティを追及しちゃってますが、容赦のなさ加減が段々快感になってきます。

その上、ゾンビ物だと思ってタカをくくっていると、いい意味で裏切られるほど、キャラクターがとても丁寧に描かれているのです。(註:これは90分枠で放送された、アメリカのオジリナル版の感想です。60分にぶった切られた日本版では、怖さもキャラクター描写も全く物足りませんでしたorz)

そして、これが一番大事なのですが、90年代イギリスのカルトヒット作This LifeのEgg(あるいはラブ・アクチュアリーでキーラに片思いの)アンドリュー・リンカーンが主演!だから!!! しかも前半ほとんとずっと半裸ですよ、奥さん

This Lifeとは、1996年にBBCが放送した「若い弁護士5人がハウスシェアをする中でぶつかり合いながら生き方を模索する、恋愛青春ドラマ」・・・なんですが、この設定で日本で作った場合に出てくるようなキャラは一人もいません。
みんなどこかぶっ壊れていて、でもどこかものすごくリアルで、何故か共感してしまう。放映中は「あの家に自分も住みたい」なんて思ってる命知らずwがイギリス中にいたと思います。

主要キャラは以下の5人。なかなか相容れない人たちが、一つ屋根の下に暮らしてすったもんだしまくります。

  • 仕事は出来るし家柄もうんざりするほどいいけど、性格と女の趣味と髪型が最悪な弁護士マイルズ(ジャック・ダヴェンポート)
  • 大学時代に一瞬マイルズと付き合ったものの、性格が男前すぎて恋愛に発展しない、アル中気味の女性弁護士アナ(ダニエラ・ナディーニ)
  • マイルズの親友で、弁護士になったばかりなのに方向性を悩んで何故か食堂のコックになってしまうエッグ(←これがアンドリュー・リンカーン
  • エッグの学生時代からの恋人で、インド系美女の敏腕弁護士のミリー(実は上司と浮気中)
  • そして語り部役の、マイルズと犬猿の仲のゲイの弁護士ウォーレン
  • これに加えて、マイルズやウォーレンのその時々の彼女/彼氏が勝手に住みついてひっかき回します

気になる方は、ようやくシリーズ1,2通してDVDが手に入るようになった(BBCは昔、1だけVHSで発売して、2は10年くらい発売すらしないという拷問をやってのけました)ので、是非ご覧くださいなv

って、The Walking Deadの話をするはずが、15年も前のイギリスのドラマの話になってしまいました。閑話休題

あのナイーブで優しいエッグが、ゾンビをぶっ殺しまくるアメリカの保安官役なんて、なぜ?と思ったのですが、フタを開けてみたらハマり役でした。

何故かというと、とてもスプラッタな半面、とても誠実なのです、このドラマ。

そりゃゾンビの描き方は容赦なくリアルで、血みどろ、内臓はすぐに見慣れてきてしまうほど。下半身を食いちぎられて、腸がはみでたまま這いずっている女の子まで描いているし、どこに潜んでいるのか分からないゾンビたち(吸血鬼と違って昼間もウロウロしてる)相手なので、サスペンスとしても抜群に面白い。

その上で、生き残った人々のバックグラウンドや、感情の動きを時間をかけて丁寧に辿っていて、登場人物に感情移入して引き込まれる部分も、同じくらい面白いのです。

まず、ゾンビに襲われる前から、主人公は妻との不和に悩んでいて、でも実はとても誠実な、善良な人である事が、車の中で同僚と交わすちょっとした会話から垣間見えます。

主人公はステレオタイプな「ゾンビが現れた途端(なぜか以前よりイキイキしだして)マシンガン片手にゾンビを殺しまくる」キャラクターに豹変したりせず、悩み苦しみながらも、保安官としての責任感からゾンビを殺していく、あくまでも普通の人として描かれていました。

「ダイナーでとりあえず最初に殺される人」や、「とりあえず悲鳴を上げて逃げまくる女性」などのホラーにありがちな人たちも、少なくとも第一話ではなし。
そして一番誠実さを感じたのは、ゾンビだって「元は人間だった」という面をちゃんと忘れずに描いてくれる所。主人公も、ゾンビに対して(大群で襲われない限りは)、ただの怪物ではなく、「なりたくてゾンビになったわけじゃない元・人間」として対峙していました。

そう思うと、アンドリュー・リンカーンの持ち味である、純粋さと誠実さは、この保安官役にぴったり。ただ、ここをあまり強調し過ぎると青臭い/めんどくさいドラマになってしまうので、リアリティ溢れすぎなスプラッタ描写とパッチワークにする事で上手くバランス取っているのかも。

第一話は、めちゃくちゃ続きが気になる部分で終了!でしたが、これだけの製作陣で、予算もかけて作ったパイロットが面白いのは、ある意味当たり前。なので次回からが勝負ですよね。コミック原作で、シリーズ1は6話しか予定されていないので、このテンションを保ってくれれば、かなり期待できるんじゃないかと思います。とりあえず来週が楽しみです!

でもって、このドラマ異例の速さで日本上陸です。なんと11月5日(金)にFoxMOVIESウォーキング・デッド放映開始!だそうです。
また、まだ噂の段階ですがシリーズ2も制作予定があるようです(原作のコミックには6話では描ききれないほどエピソードがあるので!)。

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米国版DVD。残虐シーンなどがノーカットなので、特にbraaaaaainという方におすすめします・・・。

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