Accused第3話 Helen's Story
今回は、傑作政治コメディThick of Itのピーター・カパルディと、Truly Madly Deeplyジュリエット・スティーヴンスンのダブル主演。二人にエミーでもゴールデン・グローブでもBAFTAでも、もうあげられる賞は全部あげてしまいたいくらいの、名演を超えた演技でした。
以下ちょっこしネタバレ気味です。
うわーーーーーーーーーーーーん!
なんかもう、最初から最後まで泣きっぱなしで、目が痛いです。
ピーター・カパルディは、タッカーさんとは全然違うキャラクターで来るんだろうなあとは思っていましたが、ここまでとは・・・。おいら泣きすぎて上手く説明できないよ!!!という状態なので、まずはGo Johnny Goのwhiteanklesocksさんの素晴らしい紹介記事をお読みください!
明るくて優しいベテランの小学校の先生だったヘレンが、なぜ重大事件を起こしてしまったのか。今回も引き込まれるようにして、一気に見てしまいました。
ピーター・カパルディ≠タッカーさん
ピーター・カパルディ演じるフランクは、愛する息子をたった20才で突然失い、途方に暮れて、何も手に付かない。痛々しいほどに不器用で繊細な人で、同じように悲しむ妻をいたわる余裕すらなく、お酒に逃げて行ってしまう。
妻のヘレンは、息子が勤めていた会社を訴えるという使命を見つけ、訴訟の証拠集めに邁進する事で、悲しみに沈み込んでしまうのをなんとか避ける事が出来たけれど、この事故が起きる前から失業中だったように見えるフランクは、お酒で悲しみをなんとか紛らわし、より無口になり、無口が限界に達すると、今度は妻に八つ当たりするように激昂し・・・。
でも後から分かってくるのは、この夫が妻を本当に愛している事。何度も何度も、二人一組じゃないと歩いていけないかのように、二人がぎゅっと手をつないで進んでいく姿が、繰り返し現れます。ああいかん、書いてるうちにまた泣けてきてしまいました・・・。
ヘレン≠西川きよし師匠の奥さん
・・・こんなシリアスなドラマでもこんな調子でスミマセン。ヘレン役は、アラン・リックマンのTruly Madly Deeplyに主演していたJuliet Stevensonさんでした。グウィネス・パルトロウの「エマ」、ジュリア・ロバーツの「モナリザ・スマイル」、キーラ・ナイトリーの「ベッカムに恋して」などで何度も遭遇してるのですが、肝心のTruly..を見ていなかったので、今回ようやく顔と名前が一致しました。でも、もう一生忘れる事はないと思います。それくらい強烈な演技でした。
日本の女優さんで言えば、田中裕子さんみたいな感じでしょうか。抜群に演技が上手いのに全く技巧を感じさせなくて、とても自然。今回演じた役は、地味で飾り気はないけれど、知性を感じさせ、芯の強さと可愛らしさを併せ持った女性。本当に素晴らしいハマリ役でした。
選曲センスの妙
今回は、音楽の使い方が特に印象的でした。
These Foolish Thingsは、法律に裏切られてばかりのヘレンを励まそうと、補助教員の女性がバーに連れ出してくれて、善意100%で面白おかしく替え歌にしてカラオケで歌ってくれたのですが・・・。
元々の歌詞は「ロマンチックな場所への航空券、隣の部屋から聞こえるピアノ、遊園地の回転ブランコ。こんなちょっとしたものを見るたびに、あなたを思い出してしまう」と、オシャレでノスタルジックな物を列挙して歌うラブソング。でも「こういう物と見ていると、あなたを近くに感じる。いないはずのあなたの影が離れない」と、普段ならなんとも思わない歌詞も、大事な人を失った人ばかりの人にとっては、辛くて聞けない歌に・・・。たまの気晴らしさえもままならないヘレンの姿が、見ていて辛かったです。
もう一曲は、イーグルスのDesperados。出来過ぎなタイミングで出来過ぎなシチュエーションで使われているのですが、この歌詞が、フランクからヘレンへの不器用な愛情のようでもあり、お酒に逃げていた自分に語りかけているようでもあり。素晴らしいセリフをいくらでも書く事の出来る、天才脚本家のジミー・マクガヴァンが、あえて歌詞に代弁させたのも分かるようなハマり具合。実はこの歌から今回のエピソードを思いついたのかな、と思ったほど。歌詞を和訳して下さってる方がいたので、こっそりリンクしてみます。