マッドメン S2Ep11「別世界」

前々回ベティに訪れた「理想的なアメリカ」の崩壊が、ドンにまで。
仕事人間だったドンが、若い女の誘惑に負けて顧客との会合をすっぽかし、世界中を遊び暮らすパーマネント・トラベラーの富豪たちの「別世界」に耽って行く過程が描かれていました。最後には、「ディック・ホイットマン」と名乗って、誰かと会う約束。今回はベティも子供たちもは全く出てきませんでした。棺桶まで持って行くつもりの秘密を抱えるドンにとって、ベティや子供たちは心の底を話せる相手ではないんですよね。それなりに大事にはしていたけれど、どこかで世間体を保つための書き割りでもあったのかな。

富豪たちは、LAのパームスプリングスからバハマ、カプリへとリゾート地を渡り歩き、仕事もせずに豪遊している。なんとなく胡散臭さがあって、Catch Me If You Canのディカプリオの役を思い出してしまいました。その中で一人だけ生き生きとしている21歳のJoyは、LAのホテルで一目ぼれしたドンを別世界に引きずり込み、セックスが大好きと公言しながらもどこか上品なフォークナーを読む女子大生。自分の意思をはっきりと言う新しいタイプの女性のようでいて、実は貴族の娘という旧時代の遺物の象徴でもある、相反する要素を持つキャラクターでした。

ドンは「ディック・ホイットマン」として電話をかけた際、メモ用紙代わりに、ジョイの読みかけのフォークナーに何かを書き込み、ラストシーンの描かれた最後のページを破り取っていました。先週のフレディの退職の際には、誰よりもフェアでいようとしていたドンなのに、ふとした拍子にこういう、ちょっとした人としての冷たさが垣間見える。まあ、私だったらすごーく怒ると思いますが、Joyならまた同じ本を使用人に買いに行かせるだろうし、そんなにひどい事をされたとも思わないかもしれませんが。

まさか「ラストシーンが知りたければ、俺を追いかけておいで、ウフフフフフ〜v」というロココ朝宮廷貴族の恋の手練手管みたいな魂胆があったから、なんてのはないですよね(爆)ジョイからの旅行の誘いを断って、他の誰かと会う約束をしているのだから。

エンディングは、航空会社の手違いで届かなかったドンのスーツケースが、誰もいないドンの自宅に届けられて終了。ジョニー・マシスのちょっとセンチメンタルなWhat'll I Do?がぴったりで、またもやエンディングの選曲にうなってしまいました。中部地方の次回の放送は、5月21日。待ち遠しいです。

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