ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ原作感想
先日予告編が公開されたので、キャスティングに関する感想をちょっとだけ。ただし、原作読んだのは去年の10月なので、細かいところはキレイさっぱり忘れてしまっています。すすすすみません!
二重スパイ探しの映画である以上、配役を知ること自体がネタバレかもしれません。なので、既にIMDbで発表されている以上の役名は書きません。それでもネタバレイヤンの方は、映画を観終わってからお読みくださ〜い! 結論だけ言うと、すべてハマリ役で、物凄く上手いキャスティングだと思いますv
現在IMDbで公表されているメインキャストは
- ゲイリー・オールドマン:ジョージ・スマイリー
- ベネディクト・カンバーバッチ:ピーター・ギラム
- トム・ハーディ:リッキー・ター
- マーク・ストロング:ジム・プリドー
- キャシー・バーク:コニー・サック
- Katrina Vasilieva:アン・スマイリー
- Svetlana Khodchenkova:イリーナ
配役が伏せられているのが
- コリン・ファース
- ロジャー・ロイド・パック
- トビー・ジョーンズ
- キーラン・ハインズ
私が原作を読んだ昨年10月の時点で分かっていたのは、ゲイリー・オールドマン、ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ハーディ、マーク・ストロングくらいでしたが、読めば読むほど、トム・ハーディとベネディクト・カンバーバッチとマーク・ストロングが目に浮かんできました。3人とも完璧なハマり役。ベネディクトは、ちょっと役より年齢が若い事(40代の役なので)を除けば、原作のイメージ通り。
ドラマ版のアレック・ギネスがあまりにも当たり役だったので、おそらく一番風当たりはずのゲイリー・オールドマン。彼も役より若い気がしますが、alexせんせいによれば、体重増量して役作りしたそうです。ゲイリー演じるジョージ・スマイリーは、今は静かに余生を暮らしている元敏腕スパイ。バットマンのゴードン警部が、ちょっこし食えないジジイになった雰囲気。とはいえ仕事での有能さとは裏腹に、美しい妻アンの浮気に悩み続けていて、繊細な部分もあります。
正直言って、二重スパイが誰なのかはすぐにわかってしまいます。でも、スマイリーが粛々と進める推理の旅を一緒に続けるのはかなり楽しかったです。捜査資料が少ないため、人づてに情報を得る以外にないと判断したスマイリーが、元スパイたちを訪ねて行く過程を描いただけの物語、とも言えてしまう。いわば「スパイのなれの果て」を巡る旅。
サーカス(英国諜報部の中枢を指す隠語)に尽くしながら、ちょっとした失敗や、内部権力闘争の結果、いとも簡単に捨てられて行くスパイたち。新聞記者になったり、カジノを経営したり、果ては孤独の末に精神に異常をきたしたり・・・。味のあるキャラクターたち全部出したら多分映画としておさまらないので、何人かはカットされてしまうかな??
一番のもうけ役は、イギリスの名コメディエンヌ キャシー・バーク?!
スマイリーが訪ねていくスパイたちの中でも、少し気が狂い始めている元スパイの老女コニーは、1シーン(+回想でもう一度)しか出番がないのに、一番印象に残る強烈なキャラクター。原作を読みながら「上手く演じこなせばアカデミー賞助演女優賞も取れるんじゃないか」と思ったほど。俳優なら誰でもやりがいを感じる役だと思いますが、なんとゲイリー・オールドマンの監督作品Nil By Mouthでカンヌを取った、イギリスの名コメディエンヌ キャシー・バークがコニーを演じるようです。これはハマり役だと思います。アカデミー賞うんぬんも、キャシー・バークなら更に倍率ドン! 元々は、Stuart: A Life Backwardsで抜群のケミストリーを見せたベネディクト・カンバーバッチとトム・ハーディの再共演見たさに楽しみにしていたこの映画ですが、むしろキャシー・バークの演じるコニーを見る事が一番の目的になってきてしまいそう。それくらい楽しみです。
レイフ・ファインズ→マーク・ストロング
マーク・ストロングは、原作の冒頭から登場する、背中の曲がった偏屈なフランス語の臨時教師 ジム・プリドー役。太っちょの転校生の少年と、はぐれ者同士でゆっくりと絆を深めて行く静かな巨人でした。後半(アレック・ギネスのドラマ版では前半)に、ストロング様らしさが炸裂するシーンもあるので、大画面で見るのが楽しみ。
当初レイフ・ファインズが降りたために、マーク・ストロングが配役されたと伝わってきましたが、原作を読んだ限りでは、レイフ・ファインズはジム・プリドーではなくコリン・ファースと同じ役にキャスティングされる予定だったんじゃないかな・・・と思いました。
他には、残念ながらJared Harrisがロバート・ダウニーJrの"Sherlock Holmes 2"でモリアーティ教授になるため降板。似た感じのクセの強い俳優さんToby Jonesをキャスティング。ロジャー・ロイド・パックは、ハリー・ポッターでのデイヴィッド・テナントのお父さん役、ポアロでフランス語訛りの英語を話す怪しすぎる警部役など。でも一番印象に残っているのは、マーティン・フリーマンと共演した、三谷幸喜の「笑の大学」の英語版 "Last Laugh"でした。柔・剛どちらもイケるけど、予告を見た限りでは今回は柔寄りかつ「怪しげ100%」のようです。楽しみ。
ミヒャエル・ファスベンダー→トム・ハーディ あるいはベネディクト・カンバーバッチ
ミヒャエル・ファスベンダーがX-MENのマグニートーになるためにこの映画を降りて、トム・ハーディが配役されましたが、ここもちょっこし疑問が。
トムが演じることになったリッキー・ターは、ロシアの女スパイ「イリーナ」と本気の恋に落ちて、任務をほっぽり出して逃亡した、ナイーヴで少し子供っぽさの残るスパイ。ええー、世紀の男前のファスベンダーさんでは、そんなヘマしそうに見えません。美人スパイと恋に落ちてる図はとても絵になっただろうとは思いますが。結果的には、トム・ハーディの方がハマり役だったと思います。
なので、ファスベンダーさんは、むしろベネディクト・カンバーバッチ演じる、ターの上司で、少々四角四面で硬派な実行役スパイのピーター・ギラムの方がまだしっくり来るかなーと思ったり。トム・ハーディがイリーナにフラっと行くのは何となく分かるけど(こら)、ファスベンダーさんだと、なんかもうよっぽどの大恋愛というか、むしろそのエピソードだけ映画化してくれたほうが嬉しい、みたいな状態になりそうです(わたしもたいがいばかです)。ピーター・ギラムは、スマイリーの右腕として二重スパイ捜査を進める中心人物なので、かなり出番も多いです。逆に、リッキー・ターは出番は少ないけど非常に「スパイらしくないスパイ」なので、却って印象に残るキャラクターでした。
ちなみに作中で一番重要な謎は「魔術師マーリン」なのですが、頬骨の張ったちゃっかり者のドジッ子魔法使いは出てきません、残念ながら!
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