「ハートロッカー」見たよ。或いは、ビグロー姐さんの撮った雪風が見たいですの巻

ええと、まだ見ていなかったのです(こんなんばっかりで、すみません)。

長年いつになったら雪風は実写化されるのかと思っていたのですが、この映画を見たことで、ある意味ちょっと実現してしまいました。ちょっとおっさんというか、大人になった零ちゃんだったけど。行動原理も思考回路も似てますよね。
特に、あの気の狂ったバグダッドの戦場よりアメリカのスーパーのシリアル売り場の方が狂ってるという状況も(少なくとも主人公にとっては)。

・・・ああ、ビグロー姐さんこそ雪風を実写化できる唯一の監督のような気がしてきました。グッドラックもアンブロークンアローも存在無視して、無印雪風だけ映像化してくれないでしょうか。ちゃんと全部の章をHBOあたりでミニシリーズドラマで。

ものすごく面白かったけど、実に淡々とした話。これがアカデミー賞取った時は皆ホントびっくりしただろうなあと思いますが、これほど地味な映画で受賞して、なぜよりドラマチックで内容的にも深化しているゼロ・ダーク・サーティで取れないんだというのは、ちょっと驚きでした。いや、ハートロッカーとゼロ・ダーク・サーティとどちらのほうがいい映画かという話ではなく、どちらも素晴らしいし、どちらも好きなんですが。まあ、これはゼロ・ダーク・サーティを一緒に見てくれた人が言っていた通り「ハートロッカーは戦場の戦士の話で、まだアカデミー賞会員にも分かるが、ゼロ・ダーク・サーティは主人公が女性」というの想像よりずっと大きな障壁だったのかもしれません。

ジェームズ軍曹もマヤも同じくらい精神が壊れている仕事バカ。ジェームズはたまにぶっ殺してやりたくなるほどコミュニケーション不足でイラっとくるけど、それでも戦場で背中を預けられる戦友。マヤは違う。マヤは女で、拷問の時自分で捕虜を殴らず、兵士に殴らせている(意気地がないからではなく、単純に腕力が足りないから)。ビン・ラディンの場所を100%自信を持って特定できても、そこへ命を冒して突入するチームの一員ではない。ジェームズは孤独を選んでいたけど、マヤは選択の余地もなく孤独でした。でもそれで自分がかわいそうなんて微塵も思ってないんですよね、マヤは。そして、味方を見捨てでも帰ってくる零は、兵士なのに他の兵士から信用しきってもらえない。でもその状況を気にもかけていない。

さて、ビグロー姐さんの心を占めているものが少し確認できたので、改めてもう一度ゼロ・ダーク・サーティが見たくなりました。てゆか誰か雪風を英訳して台本にしてビグローさんに送ってくれるヒマのある人いませんかね・・・。

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アニメ?聞いたことがないな。何の話だ?