トニー賞2010授賞式 感想

ようやく録画を見たのですが、同時通訳・字幕なしで見てしまったので、何かと聞き間違いだらけだと思います・・・すみません。長〜い感想ですが、誰が何を受賞したかも大事な所が抜けてたりしますので、細かい事はあまり気にしない方、司会のショーン・ヘイズのユーモアが気に入った方はどうぞv あと、キャスリン・ゼタ・ジョーンズ大ファンの方は、読まれない方がきっと幸せになれます・・・ :-p

オープニング

司会のショーン・ヘイズが登場。なんとグランドピアノを前にピアノソロです。誰でも聞いた事のあるクラシックの名曲をつないだマッシュアップを披露。

Million Dollar Quartetのキャストが登場して、Blue Suede Shoesのパフォーマンス。ショーンはジェリー・リー・ルイス役のリーヴァイ・クライス(Levi Kreis)とピアノを連弾。二人で高音域と低音域を入れ替わりながらの演奏はジュールズ・ホランドばり(注:主にリーヴァイが:-p ) 

ちょっと長いのでたたみます。

続いてPromises, Promisesからクリスティン・チェノウェスのソロ、Come Fly Awayからシナトラの歌に合わせてダンスレビュー、Everyday Rapture、Fella!、ラ・カージュ・オ・フォールのキャストなどがパフォーマンス。この間、ピアノの伴奏はずっとショーン。こんな特技があったなんて知りませんでした。折角チェノが出てきたのにデュエットしてくれなかったのは残念。

去年と比べて一作品ごとの時間が短いのでダレなくて小気味良い演出に好感が持てます。ショーンが袖に引いて、オープニングのトリはAmerican Idiotのキャスト。・・・と思ったら、本物のGreen Dayが登場。ものまね歌合戦かいな(アメアイのファイナルともいいます)。正直あまり興味のないバンドだったけれど、キャストのコーラスを従えて熱唱するビリーは、もの凄い存在感でした。全米全英でNO.1のパンクアルバムを作り、ミュージカルにして一般大衆にまで影響してしまったグリーンデイは、良くも悪くもマニックスがやりたかったけどやれなかった事を達成してしまったバンドだなあ・・・とズレた感想を持ってしまいました。
グリーンデイのパフォーマンスからショーン・ヘイズのオープニングトークまでの映像

ショーンのオープニングトーク

さて、今回ショーン・ヘイズがトニー賞の司会者に抜擢されたのは、
1)長年の「ウィル&グレイス」出演で、全国的・国外にも知名度がある
2)コメディ演技が達者=ユーモアのセンスと舞台度胸がある
3)Promises, Promisesで、今年のトニー賞主演男優賞にノミネートされている
・・・だけではなく
4)ニューズウィークでゲイのコラムニストに「カミングアウトしたゲイの俳優にはストレートの役は演じられない」という前時代的なコラムを書きたてられ、一番攻撃されていたのがショーンだったから。
ゲイが支えている?と言っても過言じゃないブロードウェイはもちろん黙っていません。わざわざ対抗するように、ショーンを司会にした模様。

チェノが再登場。ショーンと軽くキス。一旦離れたものの、吸い寄せられるようにディー――プキスw会場爆笑。艶然と去っていくチェノ。

ショーン「皆さんが今何を考えてるか、分かってますよ」
皆の頭の中にはもちろん、例のニューズウィークのコラムが。でも当然ボケるはず。
ショーン「彼女は僕には背が低すぎるよね」そう来るかw というか、チェノは誰に対しても小っちゃいですv

トニー賞も今年でもう64回目。でもアンジェラ・ランズベリーからみれば、まだまだヒヨッコ(whippersnapper)ですね」ジェシカおばさんのアンジェラは御年84歳、トニー賞4回受賞。Little Night Music助演女優賞にもノミネート。今年のゲストの中で一番立てなければいけない人にまず触れてスタート。

初ノミネートのスカーレット・ヨハンソンの役柄をいじり、クリストファー・ウォーケンには「エキセントリックでダークな役で、タイプキャストからの脱却を図っていますねv(←こら!)」、ネイサン・レインなど常連さんいじり。ちょっと緊張してるけれど、中々の滑り出し。

演劇部門助演女優賞助演男優賞の発表

あっさりスカジョ受賞の次は・・・リッキー・マーティンが進行役で登場。・・・狙ってる。狙いすぎてます、ブロードウェイコミュニティw

続いて、Million Dollar Quartetのパフォーマンスを紹介。リーヴァイのピアノ演奏がやっぱり凄い。このミュージカル見に行きたくなってしまいました。

マーク・ロスコのRedに出演のイギリス人の若手俳優が感激のコメント。共演のモリーナにすごく気を遣っています。ええ、わたしも役者だったら一度は共演してみたいです、アルフレッド・モリーナと!

続いて、カージュオフォールのパフォーマンス。ケルシー・グラマーは良くも悪くもいつもフレイジャーですねv
「(男性だけど)お母さん」役のダグラス・ホッジが歌いながら客席に下りて、Gleeのシュー先生にちょっかい。もう一人犠牲者?を探しているように見せかけて、またもやシュー先生に戻ってちょっかい。今一番分かりやすい「ミュージカル界のイケメン」ですもんね。と思ったら、ホッジさんにさっとお金を渡すシュー先生w 

この後ウィル・スミスの膝に座ったり、好き放題した後、ステージに戻って最後は全員でダンス。ソロなのが残念。ケルシーの声をもう少し聞きたかったです。

最優秀演出家賞

白いタイツで登場のショーン。どうした。放送事故かw と思ったら「ビリー・エリオットに出てたんだけど」こらw

アントニオ・ヴァンデラスがプレゼンター。ナインの舞台版には出たのに映画版は出なかったのをいじられてます。久しぶりに見たら・・・こんなになまってかしら? 
ストレートプレイ演出賞はRED。フロスト・ニクソンの演出家ということは、素晴らしい経歴の持ち主なのに・・・感謝コメントの間中、トロフィーをぞうきんでもしぼるように落ち着きなく握りしめて、ずっと下を向いたまま。コントに出てくるくらいの極度の恥ずかしがり屋さんでしたw 

次はストレートプレイ候補作の紹介。主演二人が自分たちで紹介していく演出。
正反対の性格のカップル(ゲイ)を描くNext Fall。このオリジナルキャストで見たいです・・・が、日本に移植しても面白そう。誰かやらないかしら。
マーク・ロスコのフォーシーズンズレストランの壁画を軸に、芸術の必要性を考察するRED。もの凄く見たい!モンクさんが精神を病んだ劇場支配人を演じるコメディも面白そう。

ボンジョビのキーボード デイヴィッド・ブライアンが作曲を手掛けたミュージカル「メンフィス」応援コメントのため、ジョン・ボンジョビがロンドンのO2アリーナから生中継でチラっと登場。背後には満員のオーディエンス。今晩はデイヴィッドなしでライブをしたんですね。

ミュージカル主演男優賞

チェノがプレゼンター。なのに、いきなりサンキュースピーチを読みだすw プレゼンターだってば!
「今回に限ってはノミネートもされてないよ」とショーンに言われて気絶するチェノw この件最高!

オープニングの歌の後、この件の映像が出ます

受賞はもちろんパフォーマンスで光っていたリーヴァイ。Rentなどに出演経験はあるけれど、ブロードウェイデビュー作で初ノミネートで受賞!楽曲アレンジもしたって何者?(wikipediaさんに聞いたら、元々ミュージシャンでした)

ミュージカル助演女優賞

プレゼンターはデイヴィッド・ハイド・ピアースとケルシー・グラマー。この並びは久し振り。DHPは事前に長年のアルツハイマーへのチャリティの功績が認められてイザベル・スティーヴンソン賞を受賞。

キャスリン・ゼタ・ジョーンズのSend in the Clownsパフォーマンス


私はオペラのような裏声ではなく、地声で高音をのびやかに歌う「ミュージカル声」が好きなのですが、キャスリンは裏声でもミュージカル声でもない、ドスの利いた低いしわがれ声で、Send in the Clownsを歯ぎしりするように悔しそうに披露。
この歌は、美しいがもう決して若くはない大女優が、仕事以外は思い通りにならなかった人生について、諦観を込めて泣き笑いでしみじみと振り返る歌だと思っていたんですが・・・キャスリンのデジレは同じトレヴァー・ナン演出のロンドン公演のオリジナルキャストの解釈とは全く違います
これじゃデジレじゃなくて、タラの大地を握りしめて復興を誓う(ちょっと年増の)スカーレット・オハラです。こんな程度で受賞しちゃうなんて・・・。実力よりも知名度で決まるなんて、なんだかトニー賞の権威も落ちてしまったような気が。とても残念です。

演劇主演男優賞

ショーンはアニーの衣装にお召し替え。仁王立ちです。どこらへんがオネエだ、まったくw

受賞はまたしても映画スターのデンゼル・ワシントン。こちらは見ていないので判断しかねますが、作品紹介のほんの数秒ですら凄い存在感だったアルフレッド・モリーナが受賞を逃したのは、ちょっと意外でした。

気を取り直して、照明・衣装などの部門賞。裏方さんたちは先に発表されていた模様。衣装くらい授賞式で発表してもいいのでは・・・。

進行役でイディナ・メンゼル登場。イディナへの声援が続いてなかなか紹介できないほど大人気。ミュージカル「ラグタイム」から主演クリスティアン・ノールの澄んだ伸びのある声のパフォーマンス。これぞミュージカル声。

最優秀振付賞

プレゼンターはポーラ・アブドゥル。Come Fly Awayから圧巻のダンスパフォーマンス。Promises Promisesからは、事務椅子とコート掛けを使った、カラフルな白昼夢のようなパフォーマンス。またもやショーンは歌わず、残念。
すごい事になってるオフィスで淡々とお仕事するショーン

受賞したのはFella!のビル・T・ジョーンズ。なんと演出・脚本・振付の一人三役。Gleeのレア・ミシェルとジョナサン・グロフがオリジナルキャストの「春のめざめ」の振付で2007年にもトニー賞受賞。

演劇作品賞

プレゼンターはケイト・ブランシェット。相変わらずお美しい。

リバイバルはFences、新作はRedが受賞。Red強い。Next Fallは見事なまでに取れずじまいでした。

Gleeリア・ミシェルとマシュー・モリスンのパフォーマンス

番組開始当初から「次はGleeリア・ミシェルとマシュー・モリスンのパフォーマンス!」と引っ張っていましたが、終盤になってようやく登場。シュー先生はちょっとキーが高くていつもの美声じゃないのが残念だけど十分セクシーでした。リアは一番の見せ場だったDon't Rain on My Paradeを披露!と思ったら・・・ありゃま、これは放送事故並みの大崩壊・・・。 さすがのレイチェルもトニー賞授賞式にはアガってしまったようですorz のっけから演奏と歌のテンポが全く合ってない上に、がなるような必死の歌唱。「リアがミュージカルに主演したら絶対見に行きたい!」と思っていたんですが・・・。が、がんばれ!

ミュージカル主演女優・男優・作品賞

レイチェルのパロディで、観客席の通路をかけぬけながら、Don't Rain on My Paradeを歌うスパイダーマン?!と思ったら、マスクでくぐもって、何を言ってるのか全く分かりませんw

スパイダーマンもミュージカル化されるんですね。たしかにマスクかぶってどうやって歌うんでしょうw でもまあショーンの言う通り、ライオンキングをあそこまで変貌させたジュリー・テイモアが演出なので、またすごい解決法を考えてくれるでしょう!

再びグリーンデイのビリー登場。「カンペは読んでないフリするよ」と言いながら、わざと棒読みアメリカンイディオットの紹介。「ここ重要だよ」と言いながら「脚本のマイケル・メイヤーは、俺たちのヴィジョンを完璧に理解してくれた」と言う部分だけは義理堅く強調して読んでみせる、人を食った雰囲気と茶目っ気。この人に人気のある理由がようやく分かりました。

American Idiotキャストのパフォーマンス。「なるべく棒立ち。なるべく振付っぽいく踊らない」演出は新鮮。ミュージカルアレルギーの人でも見られそう。ボヘミアンラプソディのように多重唱でハモっていくのも聴き応えあり。実際に舞台を見たくなってしまいました。

去年は驚きの司会NPHによるクロージングナンバーで締めでしたが、今年はミュージカル最優秀作品のキャストが急遽舞台に戻って、パフォーマンスをして締め。受賞した「メンフィス」のプロデューサーのスピーチが長すぎて、段取り間違えそうになって、ぴょんぴょんしてるショーンが死ぬほど可愛かったですv 
そして、キャストのど真ん中に飛び込んで一緒に踊ってるボンジョビのブライアンw ボンジョビの中ではジョンとリッチー・サンボラに譲っておとなしい印象なのに、ミュージカルキャストに交じると断然目立っています。こんなに大物オーラのある人だとは知りませんでした!

結論として、ショーンは全くオネエっぽくない、才能のある、頭の回転の速い、俳優/コメディアンでした。ゲイであるないは関係なく。ニューズウィークのコラムライターは、土下座して謝った方がいいと思う、というのが見た人殆どの感想じゃないでしょうか。既にゲイコミュニティと演劇コミュニティから猛反撃をくらって、かなりコタえているとは思いますが・・・。
ビーフェイスで毒舌もしっかり混ぜるショーンの司会は、ギャグのタイミングが良くて安心して見ていられました。NPHファンですが、来年もショーンの司会で見たいかも、と思ってしまいました。

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