【ややネタバレ】ホビット 思いがけない冒険 試写会感想【やや辛口】

映画館の正規料金で2回ホビットが見られるくらい雑誌を買いまくって応募しまくった甲斐があり、SNSでのご縁にも恵まれ、無事来日プレミアと試写会に行く事が出来ました!
ホビット並ののんびり屋にしては早くに現地入りしたつもりだったんですが、まさかのヒルズアリーナ超大入り満員。マーティンも他のキャストも生ではほとんど一瞬くらいしか見えなかったです、とほほ。でもあのマーティンコールの凄さを体感してきましたよ。日本にこんなにマーティンファンが増えるとは・・・!

閑話休題

とても良く出来ている面白い映画です!ロード・オブ・ザ・リングファンの期待を裏切りません!
ただ、最初から分かっていた事なのですが、ロード・オブ・ザ・リング指輪物語原作ファンに喜んでもらえるように作った映画で、ホビットLotR映画ファンに喜んでもらえるように作った映画。なので映画「ホビット」にホビット物語原作のほのぼのを期待すると、LotRの戦闘シーンの苛烈さを再現!続きで、ちょっとびっくりしてしまいます。

原作では1行くらいでさらっと流してある戦闘シーンを、それはそれはリアルに再現したり、原作には全くない暴力的なシーンも挿入されているので、中学生以下のお子さんと見に行く予定の方は、可能であれば大人だけで一度先に見てから判断された方がいいかもしれません。2時間50分もある映画なので、事前に見る時間を作るのは大変ですが。

ホビットは、もっとほのぼのしていてもいいと思うの。

原作の中で大好きなセリフ「おいしい卵の朝ごはん」が一度も出てきませんでした。これはかなり衝撃的でした。いつも「ごちそうがたべたいな。日になんども食べたいな」と思っているホビットのビルボなのに、食べ物のことを考えているシーンも、何かをもぐもぐしてるシーンも全くありません(食べようとして邪魔されるシーンはあります)。

極めつけは、ガンダルフが冒険の誘いに来た時。
原作ではビルボはガンダルフからの誘いを「あすお茶にでもきてください」と、とりあえず断ったので、翌日ドワーフたちが訪ねてきたときは夕食の邪魔に来たわけではなく、お茶の時間に来たわけです。ホビットから見れば、ずいぶんおっかない人たちが押し寄せてくるのに、「えと・・・お茶でも飲みます?」とついうっかり家に入れちゃうビルボさん。そう、そういうキャラクタなんですよ、ビルボさんは。なので、もう本当に映画版には、ほのぼの成分が足りません。そこらへんは、マーティン持ち前の可愛さで全部カバー!という算段のようです、PJ監督。まあ、結構カバーされちゃってる所がマーティンがマーティンたる所以なのですが。

あと、ビルボがリュックしょって「冒険に行くんだ!遅刻しちゃう!」と丘を駆け下りていくシーンがあるんですが、どう見ても「遅刻、遅刻ー!」とトーストをくわえてセーラー服で高校へ急いでかけていくアニメの美少女のような演出でした。ごちそうさまです。同行のチエコさんによれば、当然この後気になる彼と交差点でぶつかってごっつんこ!のシーンがなければいけないのですが、ビルボが出発した頃はスマウグさんお宝守るのに忙しくてホビット庄の存在に気づいていなかったので、残念です:-p

オーボエ暖房…はぁ貧乏貧乏ドーン…」

このツイートご参照https://twitter.com/honkyochi/status/272922043392073729

主演のマーティン・フリーマンはメイクも特撮もいらないんじゃないかというくらい「素がホビット」の可愛らしくてイングランド人らしい人なので、とてもハマリ役。13人もいるドワーフ達もちゃんとキャラクターが描き分けてあって楽しいです。リーダーのトーリンは一番見分けやすいので別格としても、コワモテなのにハートの熱いボフール(ジェイムズ・ネズビット)、ドワーフなのに腰が低くて気の利くドーリとオーリ(たぶんおもちゃ職人)、時に誇りが高すぎて間違った行動をするトーリン王子を黙って支えるバーリン平清盛で言えば盛国ポジション)などなど。エイダン・ターナーのキーリは会話でも戦闘シーンでも構図の中で何かと目立つ所に配置してもらっていた気がします。

今回のMVPは文句なしでゴラム!ゴラム!

もうみんなわかってることですが、やっぱり言いたい。アンディ・サーキス、あなたは素晴らしい。
セカンドユニットの監督としてアンディがクレジットされていたんですが、これもチエコさんの読みなんですが、ひょっとしてゴラムのシーンの監督自分でやってしまったのでしょうか?
きっとそうだと思います。
ロード・オブ・ザ・リングの時をも超えるほど、今までで一番最高のゴラムの演技でした。あの存在の悲しさも、ああなってしまう前の本来のいたいけさも、二重人格の恐ろしさも、どこか抜けているおかしみも、すべてが完璧でした。あのシーンだけのためにもう一度この映画見てもいいかもしれないというくらい、一世一代の名演技。

そして、そのゴラムと相対して自分の命をかけた「なぞなぞ勝負」をするビルボの「どんどん冒険を楽しみ始めている」感じがまた素晴らしかった。ここはちょっとジョンっぽくもありました。

いちばん楽しいのは原作を一番尊重しているシーン:トロルとゴラム

やはり映画にするために付け加えたシーンよりも、原作そのままのシーンの方が断然面白いです。特に「三人のトロル」のシーンと「ゴラムとビルボのなぞなぞ勝負」の2つ。物語にしかありえない人間じゃない生き物が出てきていながらも、どこか人間臭くて、子どもたちがくすくす笑いながらも、手に汗握る続きを追ってしまうシーンです。どちらも剣の力というより、小さな人ビルボの機転による冒険。そう、こういうのが見たかったんです。

ロード・オブ・ザ・リングの人気キャストを裂け谷に集めて同窓会やってる場合ではないのですよ(言っちゃった)。いや、同窓会やってたキャラクター達自体は、みんな大好きなんですけどね。もう3時間x3本もあるLotR本編で十分見たからいいんですよ・・・。しかもここで論議してる事が、正直言って後の展開のネタバレというか、余分でしかないので、このシーンは頭の中で貧乏ドーンの歌でも歌いながら、適当に流して見ましょう(こら)。あ、貧乏ドーン作詞は、フランとフィリッパじゃなくてクラウデッド・ハウスのニール・フィンでした。

まとめ

よくできた映画です!面白いです!役者もみんな上手いです!指輪世界をもう一度大画面で体験できます!おすすめです!見て損はありません!でも、原作の童話らしいのんびりした雰囲気が好きな人、小さいお子さん連れの方は、ちょっと注意です!以上!