カメレオンすぐる俳優？トム・ハーディ

BBCの現代版「シャーロック」ベネディクト・カンバーバッチがご縁で出会えた映画Stuart: A Life Backwards。悲惨な人生で精神に痛手を負いながらも、端々に知性とユニークさが見える言動で人々を惹きつけたホームレス　スチュアート・ショーターを演じたのはトム・ハーディ。映画の感想記事が、その思い余りて言葉長すぎになってしまったので、仕方なく削ったトムちんの演技の素晴らしさについて、ちょっとだけ語らせてください。ちなみにインセプションはまだ見られてませんorz

さて、感想記事を書こうとして「トム・ハーディって聞いたことあるけど、誰だっけ？」とgoogle画像検索したら

きみの素顔は一体どれなんだ？？？
IMDbを観たら、なんだ「ブラックホークダウン」のTwomblyじゃない、なつかしいｖ　Yurekを一時難聴にしてしまった、コミックリリーフの一員で印象に残っていました。若手俳優が大量に兵隊役で出てきて、主演のジョシュ・ハートネットですら「あれ、この人誰だっけ？」と思われかねないほど意図的に混乱した画面の映画でしたが、Twomblyは、ちゃんと顔と名前が一致するキャラクター。しかもトムはこれがデビュー作。健康的なアメリカ兵役と、へにゃへにゃホームレスのスチュアートとは、あまりにも別人過ぎて気が付きませんでした。

"Stuart: A Life Backwards"では、軽度の筋ジストロフィーのため、靴の裏を地面につけたままスリ足で歩くような歩き方や、舌足らずでか細い甲高い声など、外側からもスチュアート・ショーターという人物を再現しきっていました。スチュアートのお母さんも、映画を観た後「トムとスチュアートの見分けが付かないわ」と絶賛するほど。

スチュアートはジキルとハイド的人格で、いつもの温厚さと、錯乱時の混乱ぶり（「悪魔が俺に入ってきて、どうすれば出ていくのか分からない」）では、同じ役者が一本の映画で演じ分けているとは信じられないほど別人の顔。ゴッドファーザー１のアル・パチーノを思い出しました（ホメすぎ？）。
　

タイム紙に実に上手い事まとめてくれている記事があったのでご紹介。尚、リンク先の記事で訳出した部分以外は、"Stuart: A Life Backwards"のネタバレオンパレードです。ご注意ください！

トム・ハーディに出会う時はいつも、何が起きるか分からない。というより、『誰』に会うか分からない。
BBC2がドラマ化したアレクサンダー・マスターズのベストセラーで、アルコール中毒のホームレスの伝記"Stuart: A Life Backwards"のタイトルロールは、これまで"Cape Wrath"のサイコ殺人鬼の亡霊、"Virgin Queen"の伊達男の貴族、そして「スタートレック：ネメシス」の狂気じみたエイリアンを演じてきた、この30歳の俳優の驚くべきカメレオンぶりの最新章だ。
皮肉なことに、ハーディの名前が未だに一般大衆に浸透していないのは、この芸達者ぶりが原因だ。だが、"Stuart"での素晴らしい演技で、確実に、そしてようやく強力な受賞候補としての評価を決定付けるだろう。見事な名人芸で、既にBAFTA受賞の予想が集まってきている。

残念ながら受賞は逃しましたが、もちろんトムはスチュアート役で2007年BAFTAのテレビ部門主演男優賞にノミネート*1。

最後にトリビア程度なんですが、ちょい気になった事があったので・・・
最初に引用した4つの画像の右下、なんかヘンですよね。何かの役なのかプライペート流出なのか分からないのですが、見た瞬間に「この子ゲイだ」と確信。でもIMDbを読んだら「一児の父」。あれ、ゲイじゃないの？
もう少しググってみたら、以下の記事に遭遇して、疑問氷解。

男性と性的関係をもった事があるかと聞かれたトム・ハーディは「若い時に？もちろんあるよ。俺は俳優だぜ」
「誰とでも、何でもやったよ。（男性の）形とか体つきも好きだった。でも、もう俺も三十路だし、魅力を感じなくなったけど」
「人からよく男らしいって言われるけど、自分ではそうは思わない。俺は本質的に女性的だと思う。男らしい連中の仲間になりたいとは思うけど、いつも自分はちょっとそこから外れてると思ってた。きっと俺の男性的な感じは、自分がそうなれない事を克服しようとしてやり過ぎた結果だと思う」

尚、トムは実際に薬物中毒とアルコール中毒に悩んだ事があり、スチュアート役のために薬物に手を出す必要はなかったようです。良かった良かった？！　
ただ、著者のマスターズによれば、トムが中毒から足を洗ったのは、セレブ御用達のデトックス施設Priory。スチュアートとの関連には「何かが決定的に足りない」と言われてしまいましたorzが、出来上がった作品は、マスターズさんも納得の迫真の演技だったと思いますｖ

最後に素顔のトム・ハーディ。・・・何度見てもあのスチュアートと同一人物とは思えませんです。