The Walking Dead第4話"Vetos"鑑賞

今回もアクションあり、悲劇あり、コミックリリーフもあり、盛り沢山の内容でした!ノーマンが可愛かった&アンドリュー・リンカーンがカッコよかった!ので、ややムダに画像多めでお送りします。あと2回で終わってしまうなんて信じられません。

以下、ネタバレです。

アンドレアとエイミー

 
冒頭は、ゾンビとは無縁の驚くほど静かでおだやかなシーンで始まりました。美しい姉妹が、湖にボートを出して、キャンプの皆のために釣りをしながら、亡き父親の思い出を語っています。ゾンビに襲われた世界なのに、不思議の国のアリスの「あの夏の午後」のような。

アンドレアって、第一話ではいっぱいいっぱいだったので勇ましい雰囲気でしたが、よく見るとキャスリン・ヘップバーンとキャメロン・ディアスグウィネス・パルトロウを混ぜたような雰囲気。しっかりしているけど女性らしい所もあって、見るたびに魅力的だなーと思います。対するエイミーは、ドレスデンの陶器人形のような可愛らしい雰囲気。とても対照的な姉妹です。

ボートでの会話から、父親が姉妹の個性に合わせて、違う育て方をしていた事が分かります。男勝りな姉のアンドレアには、食べるための魚の釣り方。女の子らしい妹のエイミーには、捕まえた魚を離してあげる方法。なんとなく二人の未来を暗示しているような・・・。

「パパとママのいる向こうは、そんなに悪くないんじゃないかしら。少なくともここよりは」と、生きる意欲をなくしかけているエイミー。幸せだった日々を思い出してつい泣きそうになる二人。自分を奮い立たせるように、アンドレアが言う台詞が良かったです「お父さんの言ったルールを忘れないで。ボートの上では泣いちゃいけない。魚が驚いて逃げてしまうから

ちょっとしんみりしてしまいましたが、成果は大漁!何か大災害があった時に備えて、釣りとか狩猟とか野菜作りとか出来る方がいいかも〜と思ってしまいました・・・。そういやこの人たち畑は持ってないようだけど、映ってないだけで、どこかにあるのかな?

セクシーコマンドー外伝?すごいよ!!マールさん!

前回第3話のエンディングで、左手だけ残して消えていたマール*1の血の跡を追って、主人公リック、マールの弟ダリル、T-Dog、グレンの4人は、デパートの中に戻っていきます。
レストランのキッチンらしき所へ入ると、ガスバーナーのコンロ脇に旧式のアイロンが・・・。手首を切り落とした上、いわばヤキゴテで、傷跡を焼いて消毒したようです>< ギャー!! マールさん、Sだと思ってたらMでもあったようです。しかも、その後、窓づたいに建物から出て行った模様・・・。「言っただろ、兄ちゃんはタフなんだ」と胸を張るダリル君(推定40歳)ですが、なんかもうそういう次元じゃないです、マールの生存への本能と意思の強さは。

最終的に、マールはリックたちがキャンプから乗ってきたトラックを盗んで、街を脱出したようですが、前回に続いて今回も、遂に一度も画面に映る事はありませんでした。でも、いないのに圧倒的な存在感。やっぱり「『ヘンリー・ルーカス』をやったマイケル・ルーカー」というキャスティングは、お見事!でした。

グレンと海外ドラマでの東洋人の描き方

デパートのキッチンで、ダリルはまだマールを探すつもりだといいますが、T-Dogの「探してもいいけど、銃を回収してから」という意見にはちゃんと同意。T-Dogにはニガー呼ばわりだし、韓国系のグレンに「中国人の割に勇気あるな」と言ってみたり、人種偏見ガチガチですが、お兄ちゃんよりも協調性はあるみたいです。
その前にリックとすったもんだありましたが。

 
↑すったもんだの図

  
銃の回収作戦を考えたのは、なんとリックでもダリルでもなく、一番ひ弱そうなグレン。4人を二手に分けた上で、グレン本人が、たった一人で銃を取りに行く、とんでもない作戦。その方が身軽だからと譲らず、バックアップには、なんとダリルを選択。なんでリックじゃないかというと、クロスボウの方が静かだから。言っちゃあなんだが、ダリルの事をそんなに信用しちゃって大丈夫なの、グレン?!と心配になってしまいました。でもリック組を2ブロック先に配置して、その理由を理路整然と述べるグレンは、かなりカッコ良かったです。

あまりのテキパキさに、ダリルが「お前、こうなる前は何やってたんだ?」と聞いて、グレンが「ピザの配達やってた」と答えると、まずリックがちょっと考えてから納得してダリルに頷き、それを見てダリルもちょっと考えてから頷き返す所が、ダリルのちょい頭弱いけどいい奴そうな所が現れていて面白かったです。

  

グレンは銃を回収した後、リックの保安官帽が落ちているのに気付いて、「気付かなきゃよかった」という顔で、それでも引き返して帽子も取り返してくれる義理堅さと気の利き方もナイスです。原作でグレンが大人気のキャラだというのも、分かってきました。

そうはいっても、グレンはかっこよく描かれすぎていない所がいいですv銃を持った事もないので、ゾンビを撃つ時もビビっているのがリアル。
例えば、最近のメンタリストやフラッシュフォワードに出てくるアジア人は、昔と違って凄くカッコよく描かれていますよね。でも理想化されすぎていて、肉体的にも精神的にも鍛錬を怠らない、西洋人のイメージするサムライのような感じ。グレンのように、ごく普通の体格でごく普通の顔つきで、頭の回転は早い、という方がなんとなく自然な東洋人の描き方で安心するというか。いや、メンタリストのキンブルもFFのディミートリ(ジョン・チョー)も好きなキャラクターでしたが!

別の生存者グループと人質交換

 
なんとなく、リックたち(と第1話で助けてくれた親子)以外には生存者がいないような気になってしまっていましたが、もちろん他にも生存者はいたんですね。この世界では、今もどこかのビルで必死で救援を待っている人たちがいるのかもしれません。
今回出会った人たちは、リックが路上に置いて行った銃を奪おうとし、失敗するとグレンを拉致して人質に。使い走りは東欧訛りだし、ボスのグエルモはプエルトリカン。どう見てもギャング・・・と思いきや。

なんだか別世界に紛れ込んだような・・・。
実は老人ホームのお年寄りたちを守り抜いている、信じられないような男前集団だったのでした。ボスは、元々は単なる守衛さん。でも何故か皆に頼られてしまう。自分では全く理由が分からない、といいますが、リックは一言Because they canと告げます。グエルモ役の俳優さんが、ちょっこしオバマ大統領に似ているので、自分一人ではトイレにも行けないような、この状況下では「足手まとい」と思われがちなお年寄りたちを断固たる決意で守っているグエルモは「こうであってほしかったオバマ」の姿なのかも・・・と思ってしまいました。さあ〜て(データラボッチ?!)

ジムの予知夢

 
寡黙なメカニックという感じだったジムの素顔が少しだけ垣間見れた回でした。実は、奥さんと子供がゾンビに襲われ、なかば見殺しにする形で、たった一人で生き延びた結果、このキャンプに合流していたんですね。
穴を掘っているのは、何かしてなきゃ気もおかしくなってくるだろうから、放っておいてあげればよかったのに・・・と思ってみたり。穴掘ってる人を放っておくのと、同じキャンプの仲間を木に縛り付けて放っておくのとでは、どちらの方が子供の教育上良くないかな・・・とちょっと考えれば分かると思うんですが。対話よりも腕力で解決するシェーンの横暴さが徐々に見えてきて、どこか「蝿の王」のような雰囲気もありました。

時計とデール

キャンプがちゃんと機能しているのは、裕福で冷静沈着で寛容なリタイアのおじいちゃんデールさんのおかげ。キャンピングカーやテントやカヌーなど、物資を豊富に持っていて、共同生活を送る皆に快く貸してくれているから。
なんつーか、日本でやるなら津川雅彦のイメージの俳優さんです。

 
アンドレアとエイミー姉妹のおかげで、ひさびさに豪華な夕食後、何故デールはこんな状況でも、毎日腕時計のネジを回しているのかと聞かれ、父から子へと時計を代々受け継いで行くことの大切さを語ってくれます。

お前に、希望と欲望の霊廟をあげよう。私がお前にこれをあげるのは、時間を覚えておいてほしいからではない。むしろ、たまにはふと時など忘れ、必死になって時を征服しようとするのをやめてほしいからだ。なぜなら、その戦いに勝った者は一人もいないからだ。戦いにすらなっていないのだ。その戦場は、ただ人間の愚かさと絶望を露わにするだけで、勝利など哲学者と愚者の見る幻影に過ぎないのだ。

エイミーが思わず「あなたって、ヘンな人」というと、デールは「私じゃないさ、フォークナーだよ」と返答。フォークナーの引用だったんですね。全然知らなかったので、わたしもデールって含蓄ある事言う人だなーと思ってしまってましたw

この後キャンプはゾンビ大襲撃に遭って、エイミーと先週シェーンに殴られて大けがをした男性、ヒスパニック系の男性の少なくとも計3名(もっといるかも?)が命を落としてしまう悲劇に見舞われます。ヒスパニックの男性は、魚のグリルを作ってくれたMorales(リックと一緒にデパートから逃げてきた人)とは別の人ですよね、たぶん。

でも、大惨事の一瞬前に、キャンプファイアを囲んで、哲学を語り合う豊かな時間がちゃんとあった、というのがウォーキング・デッドというドラマらしさなのかな、と思います。このシーンは原作にもあるのでしょうか??

ゾンビ大襲撃と構成の妙

ところで、ホラー大嫌いな私がゾンビドラマ見続ける事ができているのは、実は第1話〜第3話には「ゾンビが人間をむさぼり食う」残酷なシーンが、一切なかったから、なのです。リックたちがゾンビを倒すシーンはあっても、か弱い女性や子供がゾンビに襲われて殺されるようなシーンはなかったので、比較的抵抗感がなく見られたのだと思います。視聴者がすっかりドラマに入り込んでしまった第4話で、満を持してゾンビ襲撃を描くあたり、上手い構成だなあとうなってしまいました。


今回は、あまりにも内容が盛りだくさんだったので、いつもより感想が長くなってしまいました。
アンドリュー・リンカーン演じるリックがどんどんかっこよくなってきている、というか第4話が一番かっこよかった!ので、残り2話しかないのがホント残念です!
ノーマン・リーダス演じるダリルとリックが並んでるシーンが実に絵になってるし。・・・というか、リックとグレンは、確実にダリルに懐かれはじめている気がw ちょっと頭オカシイ所もありますが、忠誠心が強くて腕っ節もあり、怖いもの知らずなので、味方になれば心強い人なのかも。がんばれ、リック!

おまけ

 
マールの切り落とされた左手を、勝手にリュックに入れられてしまって、勘弁してくれよ・・・という表情のグレン。きっとマンガそのまんまなんだろうなーと思えるシーンでした。原作読んでみようかな・・・いや、やめておけー、やめておけー!(←自分に言い聞かせてみる)

おまけのおまけ

めちゃくちゃどうでもいい事なんですが、イギリス人俳優は電柱みたいに大きい人ばかりなので、アンドリューって小柄だなーと思っていたんですが、なんとなく長身なイメージのあったノーマンよりアンドリューの方が背が高くてびっくり。IMDbで調べてみたら、どちらも同じ5' 10" (1.78 m) と記載されてました。 結構テキトーに申告してるのか、アンドリューの身長が伸びたのか、トム・クルーズに靴を借りたのか・・・それはないかw お、おそまつさまでしたー!!

*1:字幕は何故かメルルになってるようですが、発音はマールに近いですよね